葉酸の化学概要

葉酸は弱アルカリ性の場合、熱に対して安定しますが、強酸性にした場合、熱、光に分解する性質を有しています。葉酸の調理によってなくなることはありません。葉酸はオレンジor黄色の結晶性粉末で無臭です。

 

葉酸は有機溶媒(水、エタノールなど)にはほとんど溶けない性質を持ちます。ただし、塩酸、硫酸、炭酸ナトリウム、希水酸化ナトリウムには溶けます。葉酸の色が黄色のため、溶解した液体は黄色です。

 

食事から葉酸を取り込むと、肝臓、腎臓などの臓器にある分解酵素の働きで加水分解され、遊離型の葉酸になって活用されます。葉酸の75%はグルタミン酸ですので小腸で吸収されて血液中に存在することになります。サルファ剤、エストロゲンなどと共に熱をかけると葉酸の減少が著しくなることが分かっていますので留意してください。

 

天然型の葉酸は5,6,7,8-テトラヒドロ葉酸に一炭素単位を結合したもの、およびそれらのγ-グルタミン酸誘導体として存在しています。γ-グルタミン酸誘導体は、プテロイルグルタミン酸として存在しています。グルタミン酸残基のカルボキシル基にグルタミン酸が順次ペプチド結合したものです。

 

ビオプテリンという葉酸関連の化合物がありますが、この還元型はテコールアミン(芳香族アミノ酸からの神経伝達物質)、セロトニンなどの生合成初発反応に関して重要な調整因子としての機能を有しています。

 

葉酸の化学名はプテロイルグルタミン酸です。生体内の葉酸はアミノ酸核酸塩基が作られる際に必要となります。つまり、核酸、DND、RNAを作るのに重要な働きをしており、細胞分裂には必須となります。

葉酸が身体に必要な理由

葉酸は身体に吸収されると骨髄内の血液を作る臓器に作用し、赤血球を作ります。従って、造血ビタミンとも言われています。葉酸は、赤血球の合成、細胞分裂、細胞の成長、発育に必須の栄養素です。

 

特に妊娠前、妊娠中の女性には葉酸は必須の栄養素です。身体の組織を正常な形に育てる働きをなし、また一方では、冠状動脈の疾患を防ぐ重要な役割を果たしています。胎児の成長だけではなく、中枢神経系などが作られる時にも重要な働きをします。

 

欧米では、葉酸は女性に限らず男女ともに必要な栄養素という認識で周知徹底されています。うさぎに体重1kg当たり4gの葉酸を食べさせると死にますが、人間の場合、大量に摂取しても有害になることはないです。しかし、静脈内に急速に大量の葉酸が注入されるとショック状態になることが知られています。

 

また、健康状態がすぐれない時、食欲不振、口腔内の炎症予防、または貧血状態時には、赤血球や白血球の減少を食い止めたり、白血病、ガン患者に対しても効果があったという研究報告もあります。

 

このように葉酸は、人間が生きていく上で効果的に摂取する必要があります。また、赤ちゃんを産んだ後に母乳の出を良くするなどの効果も知られています。他には、健康的な美肌を保つ、腸内の寄生虫や食中毒を抑制するなどの働きがあります。また、パントテン酸などと一緒に摂取すると白髪を防いだり、白髪の進行を遅くするなどの効果があることが分かっています。

葉酸が体内で果たしている作用

細胞の遺伝子情報はDNAにより受け継がれていますが、そのDNAは核酸により成り立っています。葉酸は核酸の構成成分になっているプリン核やピリミジン核の合成などに働く酵素を補酵素として助ける働きをしています。細胞分裂やその進行、細胞の成熟を大きく発展させるビタミンです。

 

人間では腸内細菌により合成されますが、その量は少なく一日を支える量ではありません。特に妊娠中においては多くの葉酸が必要なことから、サプリメントとして摂る必要がありますが、普通の場合、日常生活においてバランスの良い食事を心がけている限り、不足する心配はありません。

 

血漿中の葉酸レベルは恒常的に一定になる様に調節、維持されて、その量は0.5~1μgとされています。また赤血球中の葉酸量を測定することにより体内の葉酸貯留量の推定が可能です。

 

葉酸は赤血球や新しい細胞を造るためには不可欠の成分で、タンパク質の代謝、調節を助けています。この様に核酸、DNA、RNAを造るためには重要な役割を果たしています。また葉酸は、糖とアミノ酸の代謝においても生体内で重要な物質です。毎日500μg前後の大量の葉酸を短期間摂り続けると「シミやソバカス」が消えたという例が報告されています。

 

特に大飲酒家の人においては葉酸の欠乏が著しい場合が多いため、欠乏による傷害が現れたり、老化現象の進行が早いなど特に注意が必要です。

 

一日に大量のビタミンCを摂っている人、例えば2g以上の多量を摂っていると葉酸の排泄量が増加します。このような場合にはビタミンCの摂取量を減らすか、あるいは葉酸の摂取量を引き上げなければなりません。

 

また癲癇(てんかん)の治療薬、エストロゲン、スルフォンアミド、フェノバルビタール(催眠、鎮痛剤)、アスピリン等の薬を飲んでいる場合にも葉酸の減少が著しいことが解明されています。このような場合にも葉酸の摂取量を増やす必要があります。

葉酸サプリで病気を防ぐ

病気の予防という視点で見ると、葉酸はとても重要なビタミンということがいくつもの研究結果で証明されています。

 

例えば、動脈硬化の原因の1つとしてホモシステインが挙げられますが、葉酸を摂取するとこの値が低減して正常値になることが分かっています。ドイツは年間5万人が動脈硬化で死亡するほどの動脈硬化大国ですが、国民全体の7割が葉酸サプリを必要量摂取すれば動脈硬化の死亡数が半分になると算定されています。

 

言うまでもなく特に葉酸の摂取が必要なのは妊娠計画、妊娠中の女性です。1日0.4mg~1mgの葉酸サプリ(食事からではなく葉酸サプリです)を妊娠1ヶ月以上前~妊娠3ヶ月までの間摂取する必要があります。妊娠と葉酸サプリに関しては次のページに大変詳しく解説されていますので参考にしてください。

 

上記期間中に葉酸サプリの摂取が不足すると、生まれてくる赤ちゃんが神経管閉鎖障害という病気にある確率が上がるのが分かっています。神経管閉鎖障害とは、無脳症や二分脊椎などの病気の総称で、これらの病気に関しても上記ページに詳しく解説されています。

 

また、仮に見た目は問題なく産まれてきたとしても、知能面や精神面に障害が発生する確率が高くなります。健康状態で産まれてきても幼児期に葉酸不足になると脳の発達に影響が出ることが分かっています。

 

このような病気を防ぐためにも葉酸の摂取は必要になってきます。

 

アメリカを初め多くの欧米諸国では1990年代より1日の摂取量を市民に通達しています。カナダの行政機関が1970~1972年の調査で5千人以上の血液内の葉酸の含有量を測定し、追跡調査をその後15年にわたって実施しました。葉酸レベルの低い人は十分な人に比べて、心臓病で死亡する確率が70%高かったという報告をしています。

 

食の欧米化が普及し、野菜の摂取が低下している現代日本人において葉酸を食事だけで必要量まかなうのは困難です。しかも最近の女性はダイエット等で食事制限が日常茶飯事になっています。そのような点から見ても葉酸サプリを活用するのがスタンダードです。